2012年3月26日月曜日

詰将棋は著作物に該当しますか。棋譜は著作物ではありません。創作性が作者にあり...

詰将棋は著作物に該当しますか。棋譜は著作物ではありません。創作性が作者にあります。


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棋譜には著作権がなくても、さすがに詰め将棋には著作権が

あるだろうと思っていましたが、以前、著作権に詳しい文化庁に

聞いたところ、「詰め将棋は、将棋と言うゲームのルールを

利用したパズルであり、アイディアの一種です。このようなものは

著作権の対象になりません。」とのことでした。



つまり、クロスワードパズルが著作権の対象にならないのと

同じと言う解釈でした。



詰め将棋の著作権について、裁判で争った判例がないため、

現在は著作権があるような運用をしていたりしますが、

本当に著作権が認められるのかは分かりません。

現在は紳士協定のようなものです。



誰かが他人の詰将棋を集めて、勝手に本を出版し、

これに対し詰め将棋作者が裁判を起こして、判例が

どうなるか、というのが重要になりますが、実現する

ことはなかなかないでしょうね。



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「詰将棋」の問題を表示した棋譜は著作物である可能性はそれなりに高いと考えます。

「補足」に挙げた論文の趣旨もそのように読むべきです。



個々の「詰将棋」の問題そのものは著作物では無いです。



著作物の定義は、著作権法2条にあり、

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」です。



ここで、「表現したもの」という条件は決定的に重要です。

「表現」されていないものに著作物性が認められることは一切ありません。



「詰将棋」について検討すると、質問文には棋譜が出てるけど、「詰将棋」の問題そのものは棋譜を要しません。ルールを知ってる者であれば、アタマの中だけで組み立てることができます。これは「表現」されていないから、著作物では無いです。



創作的なアイデアである「詰将棋」の問題を盤面イメージという形式で「表現」した「棋譜」については、この棋譜を表現するためには創作的アイデアを要しているわけだから、著作物である可能性はあると思います。



創作的なアイデアである「詰将棋」を、別の形式、例えば、「玉方は、8二角、5二歩・・・」という風に文章で「表現」していれば、その文章は「著作物」である可能性は高いでしょう。



なお、質問文に、「棋譜は著作物ではありません。」などと断定的に書く意図がよく分かりません(前もそうだったでしょ)。



どうしても棋譜の著作物性を否定する立場であるなら、こんな判例もあります。

(大阪高判平成6年2月25日)

「一般に、科学についての出版の目的は、それに含まれる実用的知見を一般に伝達し、他の学者等をして、これを更に展開する機会を与えるところにあるが、この展開が著作権侵害にとなるとすれば、右の目的は達せられないことになり、科学に属する学問分野である数学に関しても、その著作物に表現された、方程式の展開を含む命題の解明過程などを前提にして、更にそれを発展させることができないことになる。このような解明過程は、その著作物の思想(アイデア)そのものであると考えられ、命題の解明過程の表現形式に創作性が認められる場合に、そこに著作権法上の権利を主張することは別としても、解明過程そのものは著作権法上の著作物に該当しない」。



これは、数学的にすぐれた独創的なアイデアを数式にあらわすことについて、そのアイデアそのものが独創的であってもその表現自体には著作物性は無い、ということです。

これに則れば、個々の「詰将棋」の問題を考える事自体には独創性はあるけれど、著作権法はその「アイデア」を保護するものではないし、また、棋譜というものには著作物性はないから(そういう立場だとして。)、結局のところ、著作権法では「詰将棋」は保護されない。と、いうこともできます。


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江戸期の家元制度における詰将棋は、将軍に世襲の証として献上する必要と当代一の実力を示す場としてあったため、秘伝や機密として扱われていたそうです。わかり易くいうと拳法の奥義みたいな感じです。ですが現在の法律の感覚だと、一定以上の年月の経過した映画が著作権を失うのと同様に、古典に類する詰将棋に著作権を問うのは難しいようです。

また近代・現代において詰将棋作家に創られた作品については、ある程度の芸術性を認めることはできますが、大道将棋に代表されるように一般には詰将棋は「パズル」の分類になるので著作権の対象にはならないようです。わかり易くいうとナンプレに著作権がないのと同じようなものです。


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65~64金、73飛成~63竜まで7手詰。

リズムがあって好作です。



別に何かのために創作しているわけではないので著作権とか考えたことがありません。これをきっかけにちょっと考えて見ます。

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